200人の議論で最も多い意見は、「誰が大統領になっても、対応していくしかない」というもの。ただ、企業人としては安定を望むから、将来を読みやすい民主党政権の方が既存の延長線上となりそうで好ましくはある。一方、トランプ氏が大統領になった場合の予想シナリオは次の通りだ。

【シナリオ1:関税強化】

 中国から米国への関税が強化される。トランプ氏がすでに、そう示唆しているからだ。米国の総輸入のうち15%を占める中国からの商品に、60%の関税を課すとすれば、外国資本であっても中国工場から米国に供給するケースに支障が生じるはずだ。

 米国が中国をいじめているようにも見えるが、現実的には、関税分は米国民が負担する。だから米国民からしてみれば高い買い物になるわけで、代替生産地の検討や米国回帰も選択肢になるだろう。

 なお、すでに起きていることだが、関税の上昇を恐れて、米国側の工場から中国へ早めの部材注文が殺到している。高くなる前に買ってしまえ、というわけだ。その影響から、中国から米国への船舶が急増しており、日本へ寄港してくれなくなっている。

 また、トランプ氏は欧州や日本からの商品についても関税率引き上げを示唆している。関税率の上昇が長期間に続くようなら、関係する企業は第三国からの供給プランを練らねばならないだろう。