【シナリオ2:半導体規制】

 半導体関連の製品に関して、米国が友好国に呼びかけ、現状よりも広範囲の分野において中国への販売を禁止するかもしれない。日本企業も例外ではなく、販売する商品のいくつかが売れなくなることにより、収益に陰りが出るかもしれない。

 中国は、レアアースをはじめ多くの資源を有する。中国がこれら資源を“人質”にすると、日本は原材料調達に支障が出るだろう。現時点では目立った混乱は起きていない。が、中国とて一方的にやられるわけではなかろう。

 さらに、サプライチェーン関係者が懸念するのは、「その先」だ。現在、中国ではファーウェイが独自ロジック半導体を設計し始めているという。先端の半導体を諸外国から購入できなくなったので、彼らからすれば当然の道だったのだろう。その結果、中国の半導体ファウンドリー企業がオランダのASMLの露光装置を改造するなどして、なんと7ナノの半導体までは生産できるようになった可能性があるそうだ。なお、日本ではロジック半導体は40ナノ程度しか生産できない。

 中国が半導体領域で孤立に追い込まれれば追い込まれるほど、彼らは多額の資金を費やして、最先端ロジック半導体を作り上げてしまうかもしれない。そうなると中国はもう、日米やドイツ、オランダなどから最先端技術を習得しなくてもいい、となる。すると、中国にとって台湾の必要性が低下する。そして、国際社会における発言力を強めるだろう。こうなると、日本の企業人は販売と調達の観点からますます中国を無視できなくなる。