ある組織の現状のダイナミクス(力学)を明示した上で、これから組織が達成したい・すべきことに合わせて、変えるべき点はどこか?改革するためには現状の組織力学のうちどの点をいじるとよさそうか?を示し、ディスカッションを深めていくわけです。

 話者が解釈や意図を持って使っている表現を、問いを通じて手繰り寄せ、話者が見ている世界観を理解した上で、解釈の溝を埋めていく……この営みですが、遠慮会釈なく切り込んでいくわけですから、まず間違いなく、ザラザラとした、居心地の悪い時間になることは、あらかじめお伝えしておきます。

 あまつさえ、あまりに無邪気に迫るので、「忖度ってことばを君は知らないのか?無礼だ!わきまえよ!」などと??られるかもしれません。

 不都合な事柄を問い質すときこそ敬意が必要なので、尋ね方は注意するに越したことはありませんが、個人攻撃ではまったくもってないこと、また、「素朴な疑問を口にすることが、組織に蔓延る慣習・所作の問い直しにつながり、ひいてはあなた自身ももっとのびのびと働くことにつながる」ことを強調・説明する必要はあります。

 普段からこんなことを言い慣れている人は珍しいでしょうから、口が言うことに慣れるまでお風呂で訓練することを、問いかける側の方にはお勧めします(これ、真面目な話です)。

「怒っている人」に
着目して組織を観察

 ちょっと余談ですが、「怒っている人」に着目して組織を観察することは、組織を立体的に捉える方法の1つとしてお勧めです。精神科医の水島広子先生語録の1つに「怒っている人は困っている人」というものがあるのですが、これは本当に真理だなぁと、組織に分け入るたび、自分自身の身の周りで起きることを俯瞰するたびに思います。