現在起きていることは、マルクスが1852年に刊行した『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』に書いたような、民主政治のひとつの崩壊過程だといえます。
ルイ・ボナパルトはナポレオン1世の甥で、皇帝ナポレオン3世となる人物です。この本は、1848年の二月革命に始まったフランスの第二共和政がナポレオン3世のクーデターを成立させていく過程を、マルクスがジャーナリストの視線で綴った記録です。
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フランスの第二共和政では、民主的な選挙が進んでいました。分割地農民という最も貧しい層にも選挙権を与えたのですが、その人たちには自分の利益を代表する政党がありません。したがって、自分の利益を代表しない人をイメージだけで選ぶことになってしまいます。
ナポレオン1世の甥で、なんとなくいいんじゃないかと思ってみんなが投票した結果、議会が廃止され、ルイ・ボナパルトは皇帝ナポレオン3世になってしまうわけです。
民主的な選挙が、最も非民主的な結果をもたらした。それと近い状態が、いま世界中で起こっています。
――権威主義的な国家観は、日本でも広まっていますか。