2020年には、政府による通信費の値下げ圧力によって、大きく株価が下落しましたが、通信は日常生活に不可欠なサービスであるため、この先10年で収益力が大きく低下するとは考えにくく、引き続き利益を上げていくことが予想されます。

 そのトップ3が、NTT(日本電信電話・9432)、KDDI(9433)、ソフトバンクグループ(9984)の子会社ソフトバンク(9434)です。

 楽天グループ(4755)は、モバイル事業が赤字続きのため、今後の動向に注目する必要があります。

利益を生み出しやすい
損害保険業界

【注目業種(4)損害保険】
構造的に利益を生み出す仕組みを持っている

 損害保険業界は、契約者から保険料を徴収し、災害や事故、事件があったときに初めて契約者に対して保険金を支払う……という仕組みを持っています。

 支払いが必要になるまでは、その保険料を他の事業などに運用することができるため、構造的に利益を生み出しやすい業種といえます。

 ウォーレン・バフェットが代表を務める世界最大級の投資会社「バークシャー・ハサウェイ」社も、損害保険事業を中核としています。

 現在の損保業界は、業界トップの「東京海上ホールディングス」(8766)、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険を傘下に置く「MS&ADインシュアランスグループホールディングス」(8725)、損保ジャパンを中心とした「SOMPOホールディングス」(8630)による寡占状態が続いています。

 銀行業界と同じく参入障壁が高いため、新たな企業がこれらのメガ損保に食い込むのは、事実上、不可能に近い状態です。

 損保業界にとってのリスクは、大災害や事故、事件によって巨額の保険金を支払うことですが、そうした不測の事態が起こった場合は、保険料の算定を変更することによって、また利益を生み出すことができます。

 参入障壁が高いだけでなく、価格転嫁力(保険料の値上げ)にも優れていることから、今後も大きな利益を生み続けることが予想されます。