AIバブルの崩壊は2026年あたり?
当面、日経平均の下げに対する過剰な心配は不要

 さて、最後に、今後の日経平均に死角はないのでしょうか?怖いのは今回のような心理的な要因ではない、本格的な経済の前提変化が起きるときです。

 その点で私が未来予測の立場で警戒していることはAIバブルの崩壊です。いま、世界のITトップ企業は先を争ってAI投資を続けています。その結果、AIに欠かせない半導体を製造するエヌビディアや、それを組み込んだデータセンター、それを利用するクラウド企業の株価が上がっています。

 日本では東京エレクトロンに代表される半導体製造機器メーカーの株が上昇して、これが日経平均を押し上げる働きをしています。そしてこの経済前提は「しばらく変わらない」というのが私の見立てであり、多くの専門家の見立てでもあります。

 しかしおそらく2026年あたりになると想定されますが、そのAI投資の事業機会がより具体的に判明するタイミングが来ます。そのときの勝者がエヌビディアやマイクロソフト、グーグルのままであればいいのですが、前提が大きく変わったとしたらそれはショックにつながるでしょう。

 これは2000年のITバブルに似ています。インターネットが世界を変えることは間違いないと思われた一方で、その勝ち組が確定していませんでした。当時株価が高かった企業で今でも株価が高いのはアマゾンやマイクロソフトぐらいでしょうか。当時はアメリカオンラインが世界最大の企業になると期待されていた一方で、グーグルは当時はまだ新興企業で、メタは存在せず、アップルはむしろ負け組でした。

 インターネットバブルの崩壊はある意味で、投資先のメンバー交代だったのです。

 それと同じメンバー交代が2026年頃を境にAIの世界で起きる可能性があります。そのときは世界的に株価にショックが起きたとしたら、その場合は今回のように「次の日になれば株価は戻るさ」などと安心はしていられないことでしょう。

 その日が来るのは投資家としては心配なことですが、少なくとも今のところ、日経平均の下げについては過剰な心配はする必要はないように私は考えます。