旅先には被保険者証とともに
「おくすり手帳」も忘れずに

 このように、急な病気やケガで被保険者証を持たずに受診しても、健康保険組合に「療養費」を申請すればお金を取り戻すことはできる。

 とはいえ、日本の医療制度がフリーアクセス制で、被保険者証一枚あれば全国どこの医療機関でも必要な医療が受けられる。被保険者証やマイナンバーカードで資格確認ができれば、窓口で支払うお金も最初から自己負担分だけでよいので、忘れずに携帯したい。

 そして、もうひとつ旅先に持って行きたいのが「おくすり手帳」だ。

「おくすり手帳」は、病院や診療所で処方された医薬品の情報が時系列で記録されており、その患者が普段服用している薬が一目瞭然で分かるようになっている。

 医師や薬剤師などの専門家が「おくすり手帳」を見れば、その患者の持病やふだんの体調を推測できる。旅先などで初めて受診した医療機関でも、薬の相互作用による健康被害を防いで、適切な治療が受けやすくなる。

 また、突然、意識を失って救急搬送されたような場合も、「おくすり手帳」があれば、その情報をもとに救急隊員なども適切な処置をしやすくなる。

「おくすり手帳」を持っていると、医療費の面でも節約になる。過去3カ月以内に同じ薬局を利用した場合は、手帳を持参したほうが、医療費が3割負担で40円安くなる。「おくすり手帳」は、急な病気やケガに備える命綱ともいえる。旅先に限らず、普段からバッグなどに入れておくと安心だ。