「失敗するわけがない」
エリートほど手痛い負けを被るワケ

「エリートや高学歴な人ほど投資で失敗をする」という趣旨の言説がある。彼らには潤沢な資金と、フレキシブルな脳味噌と、それらを有する自分への自信がある。「自分こそは失敗しない」と事前に準備して市場に臨むが、それでも多数が退場を余儀なくされる。これはなぜか。

 細かく分析すれば原因は無数に挙げられるのだが、大きなくくりで言うなら、投資を始めた途端に皆平常心を失うからである。「儲けたい」「損したくない」という気持ちは、投資を始める前に想定していたよりおそらく格段に支配力が強い。株でもFXでも、始めた翌日の日中、値動きが気になってチャートを細かくチェックする――これは駆け出し投資家の“あるある”である。

 そんな調子だから、ちょっと大きい値動きが起こればパニックに陥る。これは恥ずかしいことでなく、人として自然な反応である。大事なのは、「自分がパニックに陥る可能性があること」を日頃想定し、「パニック時は決して感情に任せて行動せず、あらかじめ定めておいた投資計画に従うこと」を何が何でも遵守することである。

 日頃リスクをうまくコントロールできていても、パニック時にいらぬ売り買いをして一瞬で致命的な損失を被るケースは、退場パターンの王道のひとつとして確立されているほどよくある。