アスリートに「ゴミ」「消えろ」…誹謗中傷の連鎖でスポーツ界が乗り出した“スゴイ対策”の中身パリ五輪は、アスリートへの誹謗中傷に対する問題意識がかつてなく高まった大会でもあった Photo:JIJI

インターネット上の誹謗中傷はもはや誰にとっても他人事ではなく、誰もが被害者にも加害者にもなり得る時代だ。パリ五輪は、アスリートへの誹謗中傷に対する問題意識がかつてなく高まった大会でもあった。実は今、スポーツ界では、意外かつ画期的な対策が始まっている。今後、ネット上のリテラシー向上はどのように進むのだろうか。(フリーライター 武藤弘樹)

選手や審判への誹謗中傷が続々
パリ五輪で一層強まった危機感

 賛否を呼ぶ開会式で幕を開けたパリ五輪は、8月12日(日本時間)に閉会した。開催期間中なんやかんやありながら、やはりスポーツは見ていて楽しく、自国の出場選手の応援となればものすごく力が入る。今大会も例年通りの感動と興奮を摂取させてもらい、「選手と運営の皆さまお疲れさまでした……」という気持ちだが、今大会は選手や審判への誹謗中傷があったというニュースを耳にする機会が特に多く、またそれを問題視する気運が東京五輪時から一層強まっている印象を受けた。

 日本国内における選手への誹謗中傷が多くあったことは、ニュースなどで見聞きしているかもしれないが、諸外国も事情は変わらない。たとえば女子ブレイキンのオーストラリア代表選手などは、その独創的なパフォーマンスが批判の的となり、選手団団長に留まらずオーストラリア首相までもが彼女を擁護する発言をする事態に至っている。言うまでもなく、これは横行している誹謗中傷のごくごく一例で、氷山の一角に過ぎない。