パリオリンピック開幕直前に起こった、女子体操・宮田笙子選手の日本代表辞退騒動。厳しすぎるという声も上がったが、実際のところどうなのか。この問題を基にルールとは何か、ルールはどう運用されるべきかについて考えてみたい。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)
五輪直前に起こった
体操・宮田選手の辞退騒動
パリオリンピックが幕を閉じようとしている。普段よりもはるかに多くの人々が注目するだけに、オリンピック関連の話題は従来以上の反響をもたらす。体操女子日本代表・宮田笙子選手の飲酒・喫煙による直前の出場辞退騒動も、そんな大騒動となった事案の一つである。
幸いだったのは、残った女子代表の4人に悲壮感はなく、清々しい笑顔のもとで競技に伸び伸び取り組み、予選4位、決勝8位入賞の成績を残すことができたことだ。
だが、問題は残る。果たして宮田選手の出場辞退は、「重すぎた」のだろうかということ。既に数多の専門家・評論家が意見を表明しているが、私も経営学者として「人にとって、ルールとは何であるのか」という観点から、こうした難しい問題において、ルールはどう運用されるべきかを解説しておきたい。
日本の法律と団体の規則に
違反しているのは明らかだった
さて、ものごとを経営学的に考える場合に何より大切なことは、情報をきちんと集めることだ。何事も、まずは情報収集が肝心だ。今回の出場辞退騒動でも、ほとんど事実関係を確認せずに「これまで4年間頑張ってきたのに今回の1発で出場できなくなるのはおかしい」とする意見が多く見受けられた。
本件で第一に確認すべきことは、今回の件は、団体として処分を課した「出場停止」ではなく、本人からの「出場辞退」だということである。
今回の件について、整理してみよう。