開成や麻布など御三家は
「ガチャ」要素が大きくなった

 では、これらに対して、御三家はどうなのか。今の御三家は、頑張って受験勉強をして、入学しても、学校が勉強を強制しないので子どもたちが戸惑ってしまうという意味で、「ガチャ」の要素が大きい学校になってきたと言えます。別に学校が悪いわけではありません。

 御三家や筑波大学附属駒場中・高等学校(以下、筑駒)などのトップ進学校は、10年前、あるいはもっと前なら学校側が何もしなくても学力の高い生徒が入学し、入学後も自主的に勉強したり、大学入試を軽々クリアしたりして、東大合格者数を「稼いだり」していました。ある意味で学校側は生徒の自主性に任せて好きにさせていて、それで十分うまく行っていたわけです。

 さらに、中学受験塾もそうした学校のカルチャーを体現した塾講師たち(時にはOB・OGでもある)が指導していました。つまり、小学生として通塾している段階で「体育会系の開成が向いている」とか、「自由な麻布が向いている」と生徒自身が学校のカルチャーや校風に馴染んでおり、おのおの個性の個性に合った進学校に進むという構図がありました。

 自由な校風の学校に進む子は、その自由を謳歌するためにやるべきことを自律的に勝手に勉強するように意識づけられていたし、塾もそのような指導をしていました。

 ところが、中学受験ブームで、中学受験が一般化し、進学塾に通う生徒が増えると、それに応じて塾のカリキュラムも効率的にモジュール化しました。結果、校風ではなく、受験技術としての志望校対策が行われ、システマティックに成績上位から順番に御三家に入る傾向が強まり、校風と生徒の個性のマッチングがうまく行かない例も増えてきたのです。その結果、実は校風に合わない生徒も偏差値ランキングに応じて入学してしまうような事態が起きています。