雙葉や女子学院など女子校は
「極端な変化」が起こりづらい

 ただし、女子校に関しては、男子校ほど極端な変化は見られないと考えています。一般論ですが、女子は、男子に比べて真面目な子どもが多く、自由な校風であっても自主的に勉強する傾向が強い。中高6年間における“振れ幅”が男子ほど大きくない。

 また、雙葉中学校・高等学校や女子学院中学校・高等学校のようにキリスト教系の学校には、宗教という教育の柱があるために、学校としてのアイデンティティが揺らぎにくい。親子三代で通わせるといったファンもいます。

 そして、女子の親は潜在的に男子の親に比べると「東大にこだわらず、早慶からしっかりした企業に就職すればいい」と思っているふしもある。「東大以外への進学は許さない」というような無言の圧力で、現実の進学実績とのギャップに苦しむこともないため、進学実績としては、女子の御三家は男子ほどは下がらないでしょう。

筑波大学附属駒場、筑波大附属など
「国公立」は難局に立たされる

 では国公立はどうか。筑駒や筑波大附属中学校・高等学校といった伝統校も御三家と同じ難局に立たされています。難しいのは文科省の管轄下のため、自分たちの力だけでは学校改革できないところでしょう。しかも、東京都の高校授業料無償化で、「学費が安い」という国公立の優位性を失うという弱点もあります。

 いずれにしても、親たちが偏差値だけでなく、立地を含めた総合力で学校を選ぶようになったことが、大きなポイントです。逆に言うと、立地条件はこれまで以上に重要視されるでしょう。その点、最寄り駅が秋葉原で、茨城県や千葉県から通いやすい開成は、御三家の中では優位性があるとも言えます。

 豊島岡女子は2025年度より「算数・英語資格」入試を始めます。学校に思い切ったことをやろうという土壌がある現れです。学校としての新陳代謝が行われない学校は時代に取り残されることがはっきりしてきた今、御三家はもっと思い切って個性を打ち出す必要があるのかもしれません。

 例えば、御三家同士で共学化することなどもありうるでしょう。ブランドに頼らず、今から本気で改革をやれば、10年後には伝統と先進的な側面を併せ持つ学校に生まれ変わる可能性もあります。中学受験を考える親子にとっては、偏差値だけにとらわない学校選びができるおもしろい時代になってきたとも言えます。

中学受験で増える「学校ガチャ」、意識の高い親が御三家より注目する「コンサバ革新系学校」の魅力