パスタ画像は、同書より転載。

かつてJリーグの練習生や学校教師をしていた鳥羽周作シェフが、30歳を過ぎてから料理の道を志したきっかけは、一皿のパスタだった。パスタとは「プロの味を、家庭でもっとも真似しやすいメニュー」なのだという。そこで、ペンネ、マカロニ、コンキリエといったショートパスタのおすすめレシピをご紹介する。幸せなディナーや、楽しいパーティーでぜひお試しいただきたい。※本稿は、鳥羽周作『帰ってきたらすぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』(CCCメディアハウス)の一部を抜粋・編集したものです。

具材をモリモリ食べまくる
コンキリエのペスカトーレ

 僕の中で、ロングパスタとショートパスタは明確に位置づけが違います。ロングパスタは「ソースとの対話」。ショートパスタは「具材との対話」。

 どういうことかというと、ロングパスタは大抵、フォークで巻きつけて口に入れるものです。この時、あまりに大きい具材があると、一緒に口に入れて味わうのが難しくなります。要は一体感が出にくいのです。このため、おのずと麺とソースだけで成立するように仕立てる必要性が出てきます。だから僕の作るロングパスタのメニューは、比較的具材を細かくきざむものが多いです。これは具材すらもソースの一部に、という考えがあるためです。

 逆に、ショートパスタはフォークやスプーンでひとつ、ふたつ刺したり、すくったりして食べるもの。この時パスタと同じくらいの大きさの具材があれば、一緒に味わえますし、一体感や相乗効果も出しやすいでしょう。もちろん例外はありますし、正解はありませんが、「どうやって食べるか」というゴールを考えるだけで、具材の切り方も、仕立ても変わってくるはずです。

材料(1人前)
ショートパスタ(コンキリエ) 70g
アサリ 170g
ニンニク 1片
イタリアンパセリ 適量
ピュアオリーブオイル 15g
シーフードミックス 70g
自家製トマトソース(次のページで紹介) 80g
塩 少量
E.V.オリーブオイル 20g
作り方
1 アサリをしっかり洗い、一つずつにおいを嗅いで、状態の悪いものがなさそうか確認する。塩分濃度3%の塩水(材料外)で2時間砂抜きする。ニンニクを細かいみじん切りにする。イタリアンパセリを軸ごと細かくきざむ。
2 鍋にたっぷりのお湯と1%量の塩(ともに材料外)を入れて火にかけ、沸いたらパスタを入れて12分間ゆでる。
3 フライパンにピュアオリーブオイル、ニンニクを入れて強火にかけ、ぱちぱちと音がしてきたら弱火に落としてオイルにニンニクの香りを移していく。ニンニクが軽く色づいてきたら、シーフードミックスを凍ったまま入れる。シーフードからにじみ出た水分が沸いてきたら、1のアサリを加える。水(分量外)を少量加え、蓋をして強火で加熱する。
4 シャーシャーと音がしてきたら殻が開いてきた合図。蓋を開け、アサリのみバットなどに取り出す。残りのシーフードと出た汁は煮詰める。煮汁に濃度がついたら自家製トマトソースを加え混ぜ、味を見て、必要であれば塩を加える。全体がよくなじんだら火を止める。
5 パスタがゆで上がったらフライパンに火をつけ、4で取り置いたアサリを戻し入れる。パスタをザルなどに一度上げてから、フライパンに移す。1のイタリアンパセリを加え混ぜる。
6 全体がよく合わさったらE.V.オリーブオイルをまわしかけ、火を止める。器に盛りつけて完成!
コンキリエのペスカトーレペスカトーレはスパゲッティなどのロングパスタで味わうのがスタンダードですが、ここではペスカトーレの具材にちなみ、貝の形を模したショートパスタ「コンキリエ」で。シーフードミックスは凍ったまま加熱しはじめて、出てきた水分を煮詰めることでソースのベースにします。