「好きなこと」は言い訳にもなる

 確かに、対談している2人の意見はよくわかる。好きなことを仕事にするのが、いかに難しいか。また、その人がガムシャラに、一生懸命に「働かない」言い訳になっている部分もある。今、本気を出さないのは、これは私のしたい仕事ではないからだ、と。

 とはいえ、趣味をしっかり仕事に結びつけて楽しそうにやっている人もいれば、オリンピックのアスリートのように、好きなことに打ち込み続けた末に好成績を収める人もいる。

 経営学者でリスボン新大学のミゲル・ピナ・エ・クーニャ氏らによって書かれた『趣味からビジネスへ:ビジネスが加速する一方で、パラドックスを漂う』(2024年)は、好きな仕事をビジネスにしていった事例から、仕事の合理性と楽しさとのバランスについて考察している。