災害支援と聞くと、多くの人が避難所の設置や救援物資の提供を思い浮かべるだろう。それらの支援は被災した人々が生きていくうえでもっとも重要な支援だが、近年では緊急時におけるメンタルケアの大切さも指摘されている。とくに成長途中の子どもたちには、大人とは異なる心の手当てが必要なケースもあるという。(清談社 真島加代)
非常時に子どもが示す反応は
年齢によって異なる
地震、豪雨、台風、津波……災害大国の日本では、例年多くの大規模災害が発生している。そのため、日本に住む人々の防災意識は年々高まっており(*)、食料品や水の備蓄、ハザードマップの確認など防災対策を行っている家庭も多いはず。しかし、避難所での生活まで想像する人は少数派かもしれない。
(*)…「国土交通白書2021」防災に関する国民意識より
「大規模災害発生後、被災地には避難所が設置され、多くの人々の生活拠点になります。被災者の身の安全の確保に加え、子どもたちに特化した支援活動も、被災した子どものこころのケアには必要です」
そう話すのは、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンで精神保健・心理社会的支援エキスパートを務める赤坂美幸氏。赤坂氏は、セーブ・ザ・チルドレンのスタッフとして、国内外の被災地や紛争地域に足を運び「緊急子ども支援活動」に尽力している。
これまで過酷な環境で過ごす子どもたちやその家族に接してきた彼女は、緊急事態下で子どもたちが示す反応や行動について、次のように解説する。
「被災した子どもの年齢によって、感情の表し方や行動に違いがあります。たとえば0~3歳くらいの子は何が起きたのかわからず、親や養育者など、もっとも愛着を感じる大人のそばを離れなくなったり、小学校低学年の子は落ち着きがなくなったり、攻撃的になったりすることがあります。熊本地震(2016年)の支援に行ったときも、被災をきっかけにお母さんから片時も離れなくなってしまった幼児がいました」
資料提供:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 拡大画像表示