遊びは、子どもたちの心身の発達にも大きな影響を与える。災害や紛争によって成長の機会が奪われないようにサポートするのも、大人たちの役目なのだ。

「避難所で暮らす子どもたちは、それまでの自由な生活が一変し、自分の周りの状況をコントロールできない環境に身を置きます。そうしたなかでも、子どもたちが自分の好きな遊びを自分で選ぶという行為を通じて、子どもたちが自分の状況をコントロールする感覚を取り戻すことにつながります」

 13歳以上の子どもたちは、小学生とは異なる反応を示すという。事態の深刻さを理解できるようになり、親や大人よりも同年代の仲間を頼るようになるのが特徴だ。

「被災した中高生のなかには、責任感が強く、ボランティアスタッフを手伝ってくれる子もいます。一方で、本人も心身ともに疲れているのに、がんばりすぎてしまう子が多い印象です。ご家族や周りの大人たちは、適宜休みを取るようにアドバイスしてあげてください」

子どもの心をケアする
3つのポイント

 被災地で子どもの心をケアする際は「3つのポイントを抑えてほしい」と、赤坂氏は話す。1つは「子どもの居場所づくり」だ。

「まずは、子どもたちが安心して過ごせるスペースを確保する必要があります。スペースを設置するときに、利用する子どもたちと一緒にレイアウト決めや利用のルール作りをするなど、子どもの主体性を伸ばす関わりをすることは、子どもの困難を乗り越える力(レジリエンス)に働きかけるきっかけになります。熊本地震の避難所に私たちが設置した『こどもひろば』では、遊びのスペースだけでなく、学校の先生と協力して学習エリアを設けました。すると、自発的に勉強しに来る子もいて、とてもよい子どもの居場所になりましたね」

写真:支援活動中の赤坂氏セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは1月1日に発生した能登半島地震の緊急子ども支援も行い、避難所に「こどもひろば」を設置。参加した子どもたちからは「楽しかった」という声や、保護者からも「最近寝付きが悪くなっていたが、今日はすっきり眠れると思う」など、好意的な意見が多く寄せられている。写真は支援活動中の赤坂氏(写真左)
画像提供:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン