劇場公演がメインの仕事場だった私に
人気メンバーが投げかけた「ダメ出し」

 というのも、AKB48時代の私は、先述した「じゃんけん大会」や「チャンスの順番」が話題になっていた時期を除くと、あまりテレビに出演することができませんでした。その代わりに、普段は東京・秋葉原の「AKB48劇場」で、グループが日常的に行っている劇場公演に参加していました。

「ミスが命取りの芸能界」にいた元AKB48内田眞由美が、焼肉店開業後は「しくじりOK」と部下に説く理由Photo by M.I.

 劇場公演の仕事では、曲のセットリストに多少の差はあれども、基本的には毎日のように同じパフォーマンスを繰り返します。外部のライブハウスに遠征するわけでもないので、ステージから見える景色も変わり映えしません。

 ですので、私はいつしか劇場公演で歌って踊ることに慣れきっていました。自分では頑張っているつもりでも、仕事に取り組む上での新鮮さや緊張感も薄れていました。

 そんなあるとき、人気も実力もあり、テレビ番組にも数多く出演していた先輩メンバーが、久々に劇場公演に戻ってきました。そしてステージが終わると、彼女は私たちにこう告げました。「ぬるい」と。

 私としては、その日の劇場公演はいつも通りの出来栄えで、ステージ上で何かミスをしたわけではありませんでした。それでも、先輩からすればパフォーマンスの精度が低かったということです。その先輩はこう続けました。

「自分たちがやっていることは『いつもと同じ』かもしれないけど、お客さんの中には初めてステージを見る人もいる。だったら、こちらも常に新しいものを提供してあげなきゃ、プロとしておかしいよね」