そごう・西武の店舗のなかでも池袋は「別格」と言っていい巨大店舗だ。

 単独でももちろん重要な存在だが、それ以上に、そごう・西武グループ全店を引っ張る文字通り母艦のような存在である。地方店しか知らず、つい先日まで組合専従者だった私のような者がすぐに務まる職場とは思っていなかった。池袋本店はちょうどリニューアル工事中で、終了後は「即戦力」が求められると予想していたのだ。

 意外な人事だったが、泣き言は言っていられない。

一流デザイナーの服をより身近に
その試みは広がりを見せたが

 職場復帰した翌年の2009年、ある新事業がスタートする。

 田山淳朗、島田順子、高田賢三(「高」ははしごだか)、カール・ラガーフェルド、ジャン=ポール・ゴルチエなど有名デザイナーを次々起用したそごう・西武の企画商品「リミテッドエディション」シリーズである。自ら商品を企画し、生地をグループで共通化することなどによって価格を抑えたプライベートブランド(PB)だった。

 一流デザイナーの服をより身近にーーこの試みは当初こそ苦戦したものの徐々に地力をつけ、お客さまの支持を集めはじめた。特にゴルチエの商品は価格訴求力があり、立ち上げ当初は驚くほど売れた。