「のめり込むのは最強」
特に中年に刺さる珠玉の名言集

 さて、見る人の情熱を揺さぶってくる『ブルーピリオド』だが、原作から名言が多いことでも注目されていた。私と同世代の中年以降の読者に向けて、特に刺さりそうな明言をいくつか紹介したい。なお映画でのセリフを正確に記憶しているわけではないので(それでも原作の言い回しとほぼ同じだと感じたが)、わずかに違う場合はご容赦願いたい。手元にある漫画とアニメ(Netflix)を参考に、該当の箇所を書き起こしていく。

※重要なシーンのセリフを含む(と人によっては感じる)かもしれないので、ネタバレを徹底して避けたい方は以下をスキップしてください。

 まずは八虎が、美術の先生に「絵って趣味じゃダメですか?」と質問するシーンである。先生はいくつか客観的事実を紹介し、ニコニコしながらこう答える。

「『好きなことは趣味でいい』 これは大人の発想だと思いますよ ~中略~ 好きなことに人生の一番大きなウエイトを置くのって普通のことじゃないでしょうか?」

 我々中年の多くは色々なものを、それこそ好きなことを含めて色々捨ててここまで生きていたがゆえに、胸に突き刺さる言葉である。好きなものを追い求める生き方は憧れであり、しかし非現実的な夢物語でもあるだろうという気もしている。しかし、「好きなことに人生の一番大きなウエイトを置く」生き方ができなかった我々にとって、「それが普通」と言い切ってくれる先生がたまらなく格好よく感じられるのであった。

 そしてこのシーンの続きで、八虎が「美大って俺入れると思います…?」と尋ねる。すると先生。

「わかりません でも好きなことをする努力家はね 最強なんですよ!」

 無責任には答えないが、「最強」とまで言って、何かにのめり込むことの強さと、悩む生徒の決断を肯定する。最高にイカす指導者である。