新NISAを活用する個人投資家
全て半導体エヌビディアに振り向ける人も

 日本証券業協会によると、1~5月の新NISAの買い付け金額は6兆6141億円に達した。成長投資枠への資金流入額は、前年同期に比べて4.7倍にも膨れた。新NISAを活用して多くの個人投資家が内外の株式に資金を振り向けた表れといえるだろう。円安進行による物価上昇の懸念などから資産を守るため、実物資産の金(きん)を買い求める個人投資家も増えている。

 特に、米国株への期待は高かった。米国の旺盛な個人消費、AI(人工知能)業界の成長などから、エヌビディアなどのIT先端銘柄が大人気となった。中には新NISAの投資枠を、全てエヌビディアに振り向ける個人投資家もいたようだ。また、S&P500連動型のETF(上場投信)を買う人も増えた。

 AI関連銘柄では、「買うから上がる、上がるから買う」という投資家の強気心理が連鎖した。株を買って価格が上がると、自分の投資戦略は正しい、人は自信過剰に陥りがちだ。

 6月以降、海外の投資家は、それまで上値の抑えられた日本株に短期目線で資金を振り向けた。円安も進んだ。米国株に投資する個人は、円を売ってドルを買う。財務省の対外及び対内証券売買契約などの状況(指定報告機関ベース)によると、1~5月の間、対外証券投資額(ネット)は5兆円を超え、1~7月の累計は約7兆円だった。個人の投資行動は円安の一因だったと考えられる。

 円安によって業績がかさ上げされる期待もあり、わが国の半導体銘柄や日本株のETFを買う人も増えた。7月、そうした群集心理の高まりから、日本株の中長期的上昇は間違いないという見方が増え、11日に日経平均株価が最高値を更新した。

 資産運用の選択肢は、株式以外にも国債などいくつかある。特に、一定期間ごとに利回りが変化する、個人向け国債はそれなりのメリットがありそうだ。8月30日時点で10年物の利率は0.61%(税引き前)だった。株式と個人向け国債を組み合わせる人もいる。リスクとリターンを考えると、説得力のある組み合わせといえるだろう。