「じゃあ、とりあえずアラクをもらおうかな」
高級酒がズラリと目の前に並んでいるにもかかわらず、私は飲みつけた安い密造酒の呪縛から逃れることができないようだ。貧乏性は、これだから困る。
DJが盛り上げる会場、女の子たちの服装は露出度高め
やがて、会場に大音量のダンスミュージックが流れ始め、ほろ酔いの私たちは踊り出す。音楽を奏でるのは、この日のために雇われたプロのDJたちだ。
集まったゲストは男女合わせて総勢15人ほど。そのほとんどが10代後半から30代前半の若者たちだ。女の子たちはミニスカートに、胸元とおへそがのぞくタイトな服を合わせている。もちろん、スカーフなんかしている子は一人もいない。
だんだん、私も心の底から楽しくなってきて、アラクをあおるペースが上がってきた。手当たり次第、目が合った女の子とペアになって踊ってみる。ときどき、彼女たちにおだてられ、輪の中央に進み出て我流のダンスなど披露すると、拍手喝采を浴びて最高に気持ちがいい。
やがて、自分が日本人であることも、ここがイランであることも忘れ、過去の失敗も、将来の不安も、何もかもどうでもいいように思えてきた。