「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳)は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社・菱沼美咲)

【心が疲れたら】メンタルが一瞬で強くなる「すごい一言」ナンバー1Photo: Adobe Stock

Q. 過去の言動を思い出して苦しい気持ちになります

 過去に「言わなければよかった」「しなければよかった」と思うことを思い出しては苦しい気持ちを引きずってしまいます。嫌な感情をひきずらないために意識したほうがいいことはありますか?

「次回どう改善できるか?」に焦点を

ジル・チャン氏(以下、チャン氏) それはあなただけではなく、とてもよくあることなので安心してください。

 私も同じで、かつては自分だけの問題かと思っていました。

 私はいま、2万人以上のオンライングループを管理しています。そのグループで、あるとき、このことについて質問をしてみました。すると、多くの内向型の人たちが同じ問題に悩んでいることがわかりました。なんと、10年以上前に自分が言ったことについて引っ掛かっているという人もいました。

 ただ、振り返ること自体は悪いことではないということを覚えておいてください。

 なぜならそれは学ぶためのプロセスだからです。ただし、振り返る目的は、過去のミスを罰することや「もっと良くできたはずだ」と考えることではなく、学んだ教訓を生かして前進することです。

 ある出来事をもやもやと思い出してメンタルが疲弊してしまうときは、「何がうまくいかなかったのか?」ではなく、「次回どう改善できるか?」という一言を自分に投げかけてください。

 未来に集中すれば、過去の失敗の重みは薄れていき、嫌な感情も次第に治まっていくでしょう。

失敗するのは当たり前

チャン氏 あとは、年をとるにつれて、そうした悩みは収まってくるということもあります。

 というのも、私自身、年を重ねるにつれて、「手放す」ことが容易になっていくことに気づきました。

 若いころはすべてを完璧にしようとしていましたが、年を取るうちに、どんなに努力してもすべてを完璧にすることは不可能だと悟るようになりました。人はそれに慣れていき、より多くの自由を自分に与えるようになっていくのだと思います。

 また、年を取ると時間が限られていることを実感するので、過去にとらわれることなく、素早く前に進むことができます。

 さらに、年を取ると記憶が長く持続しなくなるので、それも手放すことが容易になる一因かもしれません(笑)。

※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。