マジョリカタイルの「さらさ西陣」

さらさ西陣「さらさ西陣」(北区)の店内。中央のタイル壁は男湯と女湯の仕切りだった

 船岡山を下りたら、南麓を東西に走る鞍馬口通を歩いてみましょう。京の都の出入り口である「京の七口」の一つ「鞍馬口」。かつて豊臣秀吉が洛外の敵や鴨川の氾濫から都を守るために築いた御土居の出入り口でもあった鞍馬口の名を冠するこの通りは、東は賀茂川あたりから西は金閣寺(北区)まで延びています。

 中でも船岡山の南東エリアは、古き良き建物やそれらを再生して新しい風を吹き込んだ個性豊かな施設や飲食店が軒を連ねる必見の通りといえます。

 最初に訪れたいのが「さらさ西陣」。最後のページでご紹介する「船岡温泉」の初代が、今から九十余年前に創業した藤ノ森湯をリノベーションしたカフェで、湯けむりを逃がすための高窓や男湯と女湯を仕切る壁など、かつての銭湯の面影を色濃く残すフォトジェニックな空間です。

 壁一面を彩るレトロかわいいマジョリカタイルは、イギリスの発祥。大正から昭和初期にかけて国内でも製造され、流行したそうです。ボリュームたっぷりのランチや、パティシエ出身の店長が作るスイーツが、きっとあなたの五感を満たしてくれますよ。