セブン-イレブンPhoto:Diamond

コンビニ大手セブン-イレブンを擁するセブン&アイ・ホールディングスが、外資企業から買収提案を受けた。このニュースで注目すべきは、「円安だから日本の優良企業もお買い得だ」ということではない。これをきっかけに、根本にある日本企業が抱える由々しき問題に目を向けなければならない。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)

セブン&アイに外資から買収提案
「円安だから」で話を終わらせてはいけない

 日本の小売業を代表するセブン-イレブンを擁するセブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)が外資企業からの買収提案を受けた。もちろん、現時点では提案のみで、買収が決定したわけではないし、関係者の見立てでは買収はおそらく成立しないとみられている。

 だが、この買収提案の背景には、セブン&アイに限らず、日本企業の多くが抱える深刻な競争力に関わる問題がある。どうも世間では、この買収提案は、円安の文脈の延長線上にある「実力ある日本企業ですらお買い得になっている」という話として受け止められている向きがあるが、その見方は適切ではない。

 この事案は、世界の企業におけるビジネス能力の進歩と、それを前提とした株式市場の動きに日本企業が付いていけなくなっていることを象徴しているといえる。

 まずは、事実関係を確認しよう。