コンビニエンスストア大手3社の“序列”が大きく変わり始めている。1店舗当たりの売上高(全店平均日販)で3位だったローソンが2位に浮上しただけではない。最大手のセブン-イレブンだけが減収減益の「独り負け」となったのだ。なぜ、セブンは苦戦しているのか。ダイヤモンド編集部が独自入手したエリア別の客数や売り上げなどのデータを基にセブン不振の要因を探る。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
ファミマが3位転落
業界序列に大異変
「3位転落」か「有終の美」か、あるいは「独り負け」か――。2024年7月に出そろったコンビニエンスストア大手3社の24年3~5月期決算は、業界の“序列”の変動を示すものとなった。
4年前の雪辱を果たしたのが、ローソンだ。ローソンは21年2月期に1店舗当たりの売上高(全店平均日販)でファミリーマートに抜かれ、業界3位に転落。作りたての商品を提供する「まちかど厨房」の拡大やデリバリーサービスに注力してきた。
24年3~5月期では、ローソンの全店平均日販は前年同期から2万2000円増の55万9000円と過去最高額となった。KDDIのTOB(株式公開買い付け)による上場廃止を前に、有終の美を飾る形となった。
ローソンに2位を奪還されたファミマも業績は上向いている。全店平均日販は前年同期比7000円増の54万8000円。コンビニエンスウェアやプライベートブランドの「ファミマル」商品の売り上げが堅調に推移し、全店平均日販は33カ月連続で伸ばしている。
一方、異変が生じたのが王者のセブン-イレブンだ。全店平均日販は67万9000円と前年同期比で3000円減った。
収益はさらに厳しい。24年3~5月期の営業収益は前年比1.8%減の2兆249億円、営業利益は前年比4.4%減の612億円で「減収減益」となったのだ。
ライバルのローソンとファミマは増収増益となっており、業界の収益環境が悪いわけではない。ではなぜ、セブンだけが“独り負け”ともいえる状況に追い込まれているのだろうか。
今回、ダイヤモンド編集部はセブンのエリア別の売り上げや客数のデータを入手した。次ページでは、各エリアの傾向を基に、セブンだけが不振に陥っている要因を考察する。