順風満帆に思えたが、酒蔵の設計は困難を極めた。建築規制が厳しく、やむなく既存の瓶詰め場を醸造所に改修したが、非常に狭く、短い放冷機や細長いタンクなど特注した機材を、パズルを解くように配置。苦労の末、動線が短い効率的な酒蔵が完成した。
2024年4月から醸し始め、クリアで気品ある酒を大國魂神社に納品。「世界一おいしいお神酒です」と野口さん。今年は市内の農家も米栽培に参加し、今秋の酒造りから醸す。また、市の花、梅から採取する花酵母にも挑戦中で、武蔵国の酒造りは始まったばかりだ。
●野口酒造店・東京都府中市寿町2-4-8●代表銘柄:國府鶴 純米、國府鶴 純米大吟醸、國府鶴 純米辛口●杜氏:木下大輔●主要な米の品種:さくら福姫