大勢のシニアが働く日本は、中国人の目にどう映っている?
最近、日本でも「年金受給開始年齢を65歳から70歳に引き上げる」、「70歳まで働こう」というような動きがある。筆者は日本にやってくる中国人のアテンドをすることが多いのだが、来日する中国人観光客にとって、もっとも印象に残ることの一つが、「たくさんの高齢者が現役で働いている」場面を目にすることだ。筆者は仕事柄、中国の高齢者事業の関係者と議論することが多いが、「日本の高齢者は年を取っても、働き続ける人が多い。自身の社会的な価値を実現できて、実に素晴らしい」という意見をよく耳にする。しかし一般の人から見れば、それは「過酷だ」「お気の毒に」「死ぬまで働くのか?」という感想になる。
そもそも、大半の中国人は「一日も早く定年に、自由の身になりたい」と思っている。彼らはどれほど早く定年したいのかは、以前の記事『中国でもいよいよ「定年延長」、日本と違って猛反対が多い理由 』にも書いた通りだ。
定年延長で一番大きな影響を受けるのは「Z世代」
今回の定年延長によって最も影響を受けるのは、1980~90年代生まれのいわゆる「Z世代」だ。定年年齢の引き上げは来年1月から段階的に実施されるため、1990年代に生まれた「90後」の人々は2055年に65歳で定年を迎えることになる。
筆者のZ世代の知人は、「我々は、大学卒業時には就職氷河期に直面し、結婚適齢期には不動産価格が高騰して家なんてとても買えなかった。たとえ子育ての時期には、親の支援も期待できない。中年期には常に失業の恐怖にさらされる。おそらく、中国の歴史上最も長く年金保険料を払い、最も遅く年金を受け取る世代になるだろう。生まれた時代を間違ったとしか言いようがない」と嘆いていた。