なぜかというと、石破氏は周辺国との軋轢を生む靖国神社参拝に慎重な姿勢を持っており、中国や韓国と「対話」をしていくべきだと考えているからだ。また、先の戦争について当時の政府や軍部に対して、「勝てない戦争を始めたことの責任は厳しく問われるべき」というような歴史認識を繰り返し主張している。

 これは保守勢力的には看過できない。他国から何を言われようとも靖国に参拝して、英霊に哀悼の誠をささげるようなことがでできなければ、日本のリーダーとして「失格」と考えているからだ。

 また、先の戦争は白人支配からアジアを解放するという「大義」のもとに進められた戦争であって、中国や韓国、東南アジアで報告される戦争犯罪のほとんどは「日本を貶める謀略」や「冤罪」というのが基本的な保守の考え方である。

 そのような人たちからすれば「石破茂首相」はとても許容できないのである。しかも、その拒否反応を今回さらに強めてしまったのが、石破首相に対する中韓の好意的な反応だ。「歴史認識が穏健」ということもあって岸田政権で築いた関係が継続・発展できるのではないかと期待しているようだ。

 中でも特に前のめりなのが韓国だ。「中央日報」(9月30日)は歴代の駐日大使や関係者の「石破評」を掲載したが、以下のようにベタ褒めなのだ。