当初は2010年に上場するとされた東京地下鉄(東京メトロ)だが、都営地下鉄との合併構想など政治の意向や、コロナショックによる業績低下で上場まで20年の月日を費やした。ダイヤモンド編集部は、メトロ・都営一元化のキーマンだった元東京都知事の猪瀬直樹氏を直撃。元都知事は今回の上場をどう見ているのか。特集『メトロ上場! 鉄道「最強株」の正体』の#4では、東京メトロの上場までの長い道のりを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
白紙になった東京の地下鉄一元化
キーマンが真相を告白!
「小池百合子に『一元化をやるんだぞ』と言ったら、『分かりました』と小池は答えた。しかし、なんとなく僕に言われて「その通りだね」と思っているだけで、彼女は思想がないからだんだん忘れる」
そう語るのは、元東京都知事で現参議院議員の猪瀬直樹氏だ。猪瀬氏は、石原慎太郎都知事時代に副知事だった頃から、東京地下鉄(東京メトロ)と都営地下鉄の一元化を主導するキーマンだった。
しかし猪瀬氏が都知事を退任した後、都政では地下鉄の一元化が議論されることはなくなり、風化した。その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京メトロと都営地下鉄はいずれも業績が低迷し、一元化の議論は霧消。そして2024年10月23日、東京メトロの東京証券取引所プライム市場への上場は、都営地下鉄との経営統合が一層遠のいたことを意味する。
冒頭のコメント通り、猪瀬氏は現職の東京都知事である小池氏に地下鉄一元化を進言したというが、小池氏は一元化を推進するどころか、「臨海地下鉄」という新たな地下鉄を構想している。
ダイヤモンド編集部は、東京メトロと都営地下鉄の一元化構想のキーマンだった猪瀬氏を直撃。自身の都知事時代になぜ一元化を目指したのか、そして今回の東京メトロの上場をどう見ているのか。猪瀬氏は心中を激白した。