メトロ上場! 鉄道「最強株」の正体#1Photo:Ingenious Buddy/gettyimages

東京地下鉄(東京メトロ)が上場する。ソフトバンク以来の大型上場として注目されているが、果たして「買い」なのか。東日本旅客鉄道(JR東日本)、東急など、鉄道業界の同業他社と株価指標・業績を比較。そして事業の成長性はあるのだろうか。特集『メトロ上場! 鉄道「最強株」の正体』の#1では、指標・業績・プロの意見から、メトロ株が「買い」か否かを判断する。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

IPOで時価総額は7000億円規模に
「最強株」の呼び声高い東京メトロ

「今回の東京メトロの上場は、通常のIPO(新規株式公開)とは別格だ」

 いちよし証券の宇田川克己投資情報部銘柄情報課長がそう話すように、2024年10月23日に実施される東京地下鉄(東京メトロ)の東京証券取引所プライム市場への上場は、時価総額が7000億円規模に上る大型上場だ。仮条件(1100~1200円)の上限価格である1200円が売り出し価格に設定されたことは、投資家の需要の高さを反映している。

 今期(25年3月期)の1株当たり配当金は40円を予定し、配当利回りは3.33%と高い水準だ。こうした理由も相まって、新NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠内で東京メトロ株の保有を検討している個人投資家も多いだろう。

 9月20日に発表された東京メトロの資料には、「2単元(200株)以上を所有している株主」に対して、各種優待券を発行するとある。つまり、今回のIPOで仮に100株当選したとしても、追加で100株以上買い増さなければ優待を受けられない。

 株主優待狙いの個人投資家は、東京メトロに追加投資をするためにも、より一層業績や成長性を見極める必要がある。

 そして、東京メトロの株価指標・事業・将来性を同業他社と比較すると、東急や小田急電鉄などの私鉄や東日本旅客鉄道(JR東日本)にはない“留意すべき点”が存在していることが判明した。

 東京メトロにあって、他社にはない“留意点”とは何か。次ページでは、株価指標や業績などのデータ分析、そして投資のプロの意見から、東京メトロ株が「買い」か否かを判断する。