少々長くなるが、わたしたちの議論にとってひじょうに示唆的な部分なので、そのさわりを引用しておきたい。

 今、このときに到るまで、この私をあなた御自身に対して、また、女との交わりから潔くお守り下さいました方よ、若い頃、結婚しようと思った私に顕われて、「ヨハネよ、私にはおまえが必要なのだ!」と云われ、私の思いを変えるため、私に身体の病弱をさえ備えられた方よ、私が結婚したいと願った3度目には、急いで私を推し止め、そのあと、昼間の3時頃でしたか、私に海の上でこう云われた方よ、「ヨハネよ、おまえがもし私のものでないのなら、私はおまえが結婚するがままにさせたことであろう」と。悲しませ、そこからあなたを求めさせるため、私を2年もの間盲目にされた方よ、3年目に私の心の視力を開き、同時に、明るく澄んだ両の瞳をお恵み下さいました方よ、私が再び見えるようになったとき、女をその気で眺めることさえ嫌わしいこととされ、はかない気の迷いから私を解き放ち、持続する生命へとお導き下さいました方よ(大貫隆訳)。