この世界はすべて「空」である。どういうことか。龍樹のことばを紹介しよう。

 この世のすべては、ただ心のみであって、
 あたかも幻のすがたのように存在している。(『大乗についての二十詩句篇』18)

 すべては「幻」である。こういいかえてみよう。

 この世界はすべて「フィクション」である。ということだ。

「フィクション」。このひとことで、ブッダの「自分がない」の意味が、超クリアになるのだ。

書影『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』(サンクチュアリ出版)
しんめいP 著、鎌田東二 監修