「老い」っていやだよね。でも、「老い」という、「苦」をさけるために、「若い」という、「自分」をつくっている。

 その「自分」こそが「苦」の原因だったのだ。

 老いはとめられない。楽になるなら、受けいれるしかないのである。いややな~。でもさ、いくら「苦」の原因だからって、「自分」をぜんぶすてたら、どうなっちゃうの?ヤバそうじゃない?

ブッダのことばがのこっている。

「おれがいるのだ」という慢心をおさえよ。
 これこそ最上の安楽である。(ウダーナヴァルガ30章19)

 最上の安楽。

「一番、きもちいい」ということだ。「自分」ぜんぶすてたら、「きもちいい」らしい。ほんまか!?

 ここで思い出してほしい。ブッダは元・王子である。

「美味しい」「楽しい」「エロい」など、すべての「きもちいい」を経験してきた人である。

 そんなブッダが、「一番、きもちいい」といっている事実は、重い。ガチすぎてこわい。

 この「一番、きもちいい」の境地を、ニルヴァーナ(涅槃)とよんだのだ。

図:P48同書より

 ブッダは人間である。ふつうに死んだ。死因もちゃんと、記録にのこっている。