中国の不況で日本企業への影響は…?

 10月18日、中国政府は株価支援のため最大8000億元(約16兆円)の資金を投じると明らかにした。外国為替市場では、中国人民銀行が過度な人民元の変動を抑えに動いているという。人為的に管理される中国の資産価格よりも、他の新興国、資源国などの金融資産などの方がよりフェアに反映しているとの見方も増えている。

 中国の経済対策発表後、新興国の株価や為替レート、鉱物・資源価格の推移を見ると、今後の経済成長を期待しづらい。むしろ、不動産、地方融資平台を含む地方政府の債務問題の深刻化によって、資本の効率性は低下傾向で推移するだろう。

 日本企業にも影響は避けられない。中国の工場自動化(ファクトリー・オートメーション)の需要を取り込んで業績が拡大した、わが国の工作機械や制御機器メーカーの株価に関しても、やや不安定な展開になっている。

 中国政府は、国民の不安の元凶の一つである不動産関連の不良債権の処理を迅速に進めるべきだ。それに加えて、人工知能(AI)や半導体などで民間企業の成長をサポートし、在来分野から先端分野へヒト・モノ・カネの再配分を促進することが必要だろう。

 ところが、10月3日、政府は3カ月間にわたりネットニュース分野での違法行為を集中的に摘発すると発表した。政府は経済、金融市場に加え、世論をも厳格に管理したいようだ。しかしそれでは、民間の自由な発想を活性化するのは難しい。

 こうした政策スタンスが長期化すると、中国の企業家精神は停滞気味になるだろう。社会と経済への統制を政府が強めれば、これまで以上のペースで中国からカネやヒトの流出が加速し、国力が低下する。10月の中国関連資産の価格調整は、そうした懸念を強める投資家の心情を示唆していたといえるだろう。