高2の息子の学費と、老後資金を貯めたい
パート主婦のUさん(49)は、息子が小学校中学年になるまでに500万円ほど貯めましたが、その後はほとんど増やせていません。息子は現在高校2年生(16)、会社員の夫は48歳です。
今後は息子の塾代や大学受験費用、入学金、学費などが必要です。また、夫婦ともまもなく50歳となり、老後資金も意識すべき時期。教育費と老後資金の必要性を感じ、家計改善と資産形成の相談に来られました。
話を伺うと、家計には十分な改善余地があると思われました。生活防衛資金となる預貯金はすでに確保済みでしたから、まずは支出の削減に取り組み、余剰金があればそれをNISA口座に回し、節約を意識した積立投資をしていけばいいと提案しました。大学進学費用を全額確保するのが難しくても、貯金を使ったり、今後の家計から学費の積立をして捻出したり、それに合わせて投資を崩していけば対応可能です。さらに投資を継続すれば、65~70歳までには1000万~1500万円程度の資産形成も可能ではないかと思ったのです。
自ら提案した取り組みを継続できない
こうお話をしたあと、Uさんは「家計の支出を見直して、資産を作れるように頑張りたい」と意欲的に取り組み始めました。支出を絞る目標は、毎月13万円前後かかっている食費の削減と、貯蓄性の高い生命保険の見直しに設定。相談に通ってこられるごとに、実効可能そうな改善策を相談して決め、次の面談の時までに実行していくことになりました。
細かなところにも意識したいというUさんの希望で、さらに「食材の無駄を出さない買い物」「週1日の支出ゼロデー」にも挑戦しました。
しかし、自ら提案した取り組みにもかかわらず、Uさんは継続できません。一時的に成功して支出削減できたことはありましたが、「これ以上は無理」「食材が不足すると不安」という理由で元に戻ってしまいます。
なぜうまくいかないのか?よく聞いてみると、夫に「仕方がないよ」などと言われ、その言葉に、Uさんも安堵してしまう……という流れのようです。生命保険についても、保険の基本的な考え方について十分に時間をかけて説明したので、理解されたようでした。しかし「貯蓄型の保険を手放せない」「保障を今と変えるのは不安」といい、見直しが進みません。
結局のところ、Uさん一人ではどうしていいかわからない、決められないということが、変化を妨げているようです。夫に相談しても「キミが無理というなら、きっと無理なんだよ」「できなくても仕方がないよ」「無理しすぎないでね」と言われるだけ。Uさんは「夫はやさしいから負担をかけないようにそう言ってくれる」と言いますが、実際には異なるように感じました。