ビジネスで必要な「言語化」とは?
――たしかにそう考えると言語化が必須になってきますね。とはいえ言語化というのがそもそもどういうことを意味するのかというと、これまた多くの人が今一つ分かっていないのではないでしょうか。
木暮:実は“言語化=言い回し”とか、“言語化=キャッチコピー”とか、そういう定義をされているケースがほとんどで。短く端的に言えば言語化されたことになる、と誤解している人が非常に多いんです。
そうではなくて、言語化とは明確にすること。ですから、明確になっているなら言葉にする必要はない、と僕は思っています。逆に言うと、言葉にしても明確化していなかったら言語化していないことになる。つまり、言葉の問題ではないということです。このことに気付かないと、「私は言語化できています」という状態が延々と続いてしまうだけです。
――では、明確化とはすなわちどういうことなのでしょうか?
木暮:いろいろなステージがありますけど、ビジネスで必要なのは、自分が考えていることを明確にし、それを相手に明確に伝え、望んでいる行動を明確に引き出すこと、この3つだと考えています。
――おそらく、そこまで把握している人はほとんどいないでしょうね。
木暮:以前に「言語化は大事だと思いますか?」というようなアンケートを取ったとき、8割の方は「非常に重要」と答えたんです。同時に、やはり8割の方が「私はできています」とも答えていた。
「私はよく話すようにしているし、セミナーもやっている。だから私はちゃんと言語化して伝えています」とおっしゃる方もいました。
しかし実際は、ほとんどの人はできていないんです。ソクラテスじゃないですけど、無知の知みたいなところからスタートしなければいけなくて。まず「できていない」ということに気付いてもらうのが難しいんですよね。「あなたはできていないですよ」と指摘するのは簡単ですけど、絶対に角が立ちますし。