言語化できるとムダがなくなる
――真の言語化ができるようになると、どういう効果が生まれるのでしょう?
木暮:ビジネスとは、つまるところ何かを提供してお金をもらうことじゃないですか。でもほとんどの人がこのことを明確に捉えていないから、何をやったらいいのか分からないんですよね。
こう言ったら何ですけど、サラリーマン根性で仕事をしている人は会社に行くことが仕事だと思っています。自分が何をやればいいのか、そもそも何をしなきゃいけないのか、というところにフォーカスが当たっていないんです。みんな薄々は気づいていると思いますけど、なかなか実感はできていない。
平たく言うと、ムダな仕事が多いというか、仕事をしたつもりのケースが本当に多いんです。それは本人が怠けているわけではなくて、何をやったらいいか分からないからだと思います。そして会社に来て打合せに参加して、「ああ、今日もたくさん仕事した」と感じてしまっているわけです。
――なるほど。それが言語化できていないというか、明確化できていないことによる弊害というわけですね。
木暮:なので、まずゴールを明確にする。そうするとやるべきことが見えてきます。
たとえばダイエットをしようと考えたとき、「会議をすれば成果が出る」と思っている人はいないですよね。会議自体にはダイエット的な意味がないとわかっています。
だけど仕事の場合は、みんなとりあえず会議をしている場合が多い。会議をすれば仕事をしたと錯覚してしまっています。さらに、その会議で何を話すかも不明確なまま「ひとまず会議しよう」と考えてしまいます。何を明らかにしたらいいのかよく分からないまま、会議を進行しているんですよね。
しかし言語化によってゴールが明確になれば、自分が取るべき行動、どういう方向に進めばいいのかがまず分かります。
そうすると自分の考えていることを相手に明確に伝え、相手から明確に行動を引き出して一丸となって船を進めることができる。
その方向が正しいかどうかは別として、自分が意図していることを明確にチームとして引き出すことができます。もしくは、自分の中で自信を持って「こっちだ」と進むことができる。僕は、これが真の言語化の大きなメリットだと考えています。