会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーシップとはなんでしょうか?
責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めることでしょうか?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーのすべきことは「言語化」であると言います。
本記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「メンバーへの指示を言語化する方法」についてご紹介します。

「部下が明らかにダメな資料をつくってきた」優秀なリーダーはなんと言う?Photo: Adobe Stock

「数字で置き換えられる指示」は簡単

 メンバーに指示をする際、その内容を定量的に表現できる場合は、比較的話は単純です。数字に置き換えて話をすることで、認識のズレを解消することができるからです。

 たとえば、会議が始まる1分前に着席できるように、来てくださいと数字を使って「定量的」に伝えることができます。これは比較的単純な話です。数字で表現することでズレがなくなる場合は、かなり簡単なのです。

では、メンバーの「仕事の質を上げたい」ときは
どう伝える?

 指示が難しいのは、定性的な要素を指示しなければいけない場合です。

 たとえばメンバーの仕事の質を上げなければという意識を持っている人がいます。しかしこの表現も非常にあいまいです。何をどうすれば「仕事の質を上げた」ことになるのか、まったくわかりません。そこで、「もっと具体的にしよう」という発想が出てきますね。

 もう少し具体的にして提出する資料は、毎回期日の2日前の17 時までに、上司のデスクに置くと伝えたとします。

 たしかに最初の「仕事の質を上げる」よりは具体的です。しかも、やることが明確になっていて誤解も完全に防げると感じるでしょう。しかし、これは仕事を言語化したことにはなっていません。

 もともと掲げていた目的は「仕事の質を上げる」です。何をしたら仕事の質を上げることになるのかを考える前に、「期日の2日前の17時までに、上司のデスクに置く」と決めても意味がないですよね。

資料を早く提出すること=仕事の質を上げること」であれば問題ありませんが、その定義は正しくないはずです