他人を批判する行動が、無意識のうちに自分の成長を妨げているかもしれない。この記事では、「選択の地図」を活用した自己観察の方法と、「批判する人」から「学ぶ人」に切り替えるための具体的な質問術を解説する。このテクニックを取り入れれば、職場や人間関係のストレスを減らし、より建設的な解決策を導き出せるようになるだろう。※本稿は、マリリー・G.アダムス著、鈴木義幸監修、中西真雄美訳『<増補改訂版>すべては「前向き質問」でうまくいく』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
人物紹介
ベン・ナイト……主人公。前職の上司アレクサ・ハートに請われてQテック社に転職。プロジェクト・リーダーをまかされるが、メンバーのマネジメントに苦戦中で、業績が上がらず追いつめられている。その余波で、妻グレースともぎくしゃくしている。
グレース・ナイト……ベンの妻。美術関係の仕事をしている。ベンの様子がおかしいことを案じている。前向きな考え方の持ち主。アレクサ・ハート……ベンの上司。女性経営者。ベンの能力を信頼しているが、マネジメント能力を懸念して、コーチのジョゼフのもとにベンを行かせる。
ジョゼフ・エドワーズ……エグゼクティブ・コーチ。質問を前向きにすることを通じて思考を建設的なものに変え、よりよい仕事、人間関係、恋愛、ひいては人生を送れることを提唱。その内容に定評があり、ビジネス界に多くのクライアントをもつ。
サラ・エドワーズ……ジョゼフの妻。
チャールズ……ベン率いるプロジェクト・チームのサブリーダー。転職してきたベンにポジションを奪われたためか、反抗的な態度をとり、折り合いが悪い。
他人を批判している人の話を聞き
自分が「批判する人」になる事例
ジョゼフは少し間をおき、急に笑顔を見せた。
「少し私の話を聞いてくれるかい。2、3カ月前、私は大手の建設会社の管理職のコーチング・セッションをしていたんだ。彼が会社での出来事を愚痴っては、他人のせいにするのを15分間も聞いていたんだ。世界は大ばか者だらけだと、言いつづけていたよ。