従業員エンゲージメントの総和が
会社のパフォーマンスにつながる

:社員のやる気を導き出す

 カスタマージャーニーを策定する過程で全社的に議論することにより、社員は会社に対する貢献を行っているという実感を得ることができる。これは従業員エンゲージメントを高めるうえで重要なことだ。

 従業員エンゲージメントとは、社員が会社に共感し、自発的に会社に貢献したいと思う意欲のことだ。

 エンゲージメントの高い組織では、社員が「何を期待されているか」をそれぞれ理解し、そこに成長機会を感じる。期待に応えていくことで組織に貢献し、かつ自らも成長しているという実感を得られる。端的に言えば仕事にやりがいを感じられるのだ。

 これはとても大事で、この総和、掛け算が会社のパフォーマンスになる。

書影『売上目標を捨てよう』(集英社インターナショナル)『売上目標を捨てよう』(集英社インターナショナル)
青嶋 稔 著

 カスタマージャーニー策定にあたり、企業は「どのような価値を実現したいと考えているのか」を、社員に明確に説明することになる。

 それを受けて、顧客体験の改善活動、もしくは新しい顧客体験の創出について、社員間で情報を共有し、意見交換、共鳴する場が必要となる。

 社員同士で活動の共有を行うことは、自らが実施してきたことの肯定となり、それぞれの自信につながる。他の社員が実施していることに強く共鳴し、更なる活動の動機付けとなることも多い。

 次第に、社員の中で自分事化が進み、能動的に参画し「顧客にとってより良い体験」を自分で考え、その実現のために行動できるようになる。

 結果的に社員の士気を高めることができる。

 カスタマージャーニーは社員のやる気を導き出す仕組みとしても有効なのである。