経営者の思考も「コンテンツ」にすれば、より多くの人に届けられるようになります。そのイメージを下の図にしました。

P104図版同書より転載 拡大画像表示

 経営者の頭の中には「暗黙知」が詰まっています。個人の経験や直感、言語化できていない知識やスキルなどの暗黙知には、企業を動かし、世の中を変えるような大きな価値があるでしょう。しかし、脳内に留まっていては誰にも伝わりません。そこで必要なのが「言語化」です。言語化、つまり言葉にすれば、まわりの人に伝えることができます。

 言語化したものを文章にまとめるなど「情報化」すれば、経営者や会社のことを知っている人たちにも伝わるでしょう。さらに、その情報をコンテンツ化、つまり「何かしら心が動くもの」に加工すれば、業界外の人やこれまで会社を知らなかった人にまで届きます。

まずは存在を知られなければ
伝えたいことも聞いてもらえない

 これを採用の側面から見てみるとこうなります。

 経営者が「こんな人がいたら会社は成長できるのにな」と思っているだけでは暗黙知のままなので誰にも届きません。そこで経営者が考える「こんな人」を言語化します。すると、まわりの10人くらいに届き「社長はそういう人がほしいと考えているんですね」とわかってもらえます。それをきちんと文章に整理してサイトに載せる。すると、関係者やすでにその会社に興味のある人など100人ぐらいが見てくれます。

 さらに「こんな人がほしい」という情報にとどまらず「これまでの会社の歴史」「起業したときの思い」「会社が実現させたい未来」などのコンテンツを出します。すると、それまでその会社を知らなかった1000人以上が見にきてくれるようになるという具合です。コンテンツ化にはそれくらいの威力があるのです。

 こんな相談を受けることもあります。

「エンジニアを採用したいからエンジニアだけに届けばいいんです」「バズらなくていいので社会人5年目くらいの優秀な若手に届けられないでしょうか?」など、一部の人にだけ届けたいという相談です。