しかしゲーム中、チャットに「(笑)」をつけるのはなかなかたいへんだ。というのも、キャラクターを走らせたり戦わせたりする傍らでチャットの文字を打ち込まなくてはならず、そんな中で毎回「カッコ→わらい→漢字に変換→『笑い』から『い』を削除→カッコとじ」をやるのは相当な手間だからだ。そんな中、FFXI黎明期のプレイヤーの中で使われるようになったのが、他ならぬ「w」である。
「w」の発祥は
「2ちゃんねる」ではない!?
ちなみに「w」には「2ちゃんねる発祥」という説があるようだが、これはあまり信頼できない。というのも2ちゃんではゲーム中のチャットと違い、列車のように連なる多数のモンスターに追いかけられながらカキコ(死語)をする必要などないので、そもそも「w」が発生する土壌がない。より信頼できるのは、1990年代の海外RPG「Diablo」シリーズを発祥とする説である。
Diabloにもオンラインモードがあったが、チャット時にアルファベットしか入力できなかったため、日本人プレイヤーが「(笑)」を「(warai)」と表記し、それが次第に簡略化されて「w(半角)」になったという。DiabloシリーズのプレイヤーがFFXIに流れてきていたのは事実なので(注1)、そちらの影響は間違いなくあるだろう。
しかし「日本語+w(全角)の組み合わせ」が爆発的に普及したのは、やはりFFXIの内部であるはずだ。FFXI内では「(笑)」→「w」の他にも、「OK」(半角英数字)を「おk」(全角キーボードのままで打ち込んだ「OK」)と表記するなど、プレイ中のコミュニケーションを簡潔にするための表現が生まれていた。
「w」を2ちゃんねる発祥とする説が出てきたのはおそらく、2ちゃんにFFXI関連のスレッドが頻繁に立ち、ゲーム内で発生した迷言の数々がテンプレとして貼り付けられることが多かったためと考えられる。
(注1)
実は私もその一人だが、Diabloではオンラインモードでプレイしたことはなかったので、「(warai)」あるいは「w」という表現を見たことも使ったこともない。