類似事案として、ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」をめぐる騒動がある。6月発表の新曲「コロンブス」のミュージックビデオに「コロンブスが類人猿に物事を教え、馬車を引かせる」などのシーンを盛り込み、すぐさま非公開になったのだ。
探検家コロンブスは近年、奴隷商人の一面が注目されていることから、ネット上では「類人猿は奴隷のメタファーか」といった指摘が殺到。レコード会社らが「公開前の確認が不十分」だったと認め、「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていた」などと謝罪した。
どちらのケースも、「この表現手法をとればどうなるか」といった想像力があれば、ここまでの炎上にはならなかったはずだ。好意的な反応だけでなく、炎上の可能性も先回りして考えて初めて、現代のプロモーションは成立するのだろう。
フワちゃんが大炎上で活動休止へ
背景に「初動対応」のミス
芸能ネタではあるが、「不祥事における企業対応」としてケーススタディーになりそうなのが、8月に起きたタレントのフワちゃんによる炎上案件だ。
お笑い芸人のやす子さんが、パリ五輪に合わせて「生きてるだけで偉いので皆 優勝でーす」とX投稿したところ、やす子さんが「おまえは偉くないので、死んでくださーい」と引用リポスト。最終的にフワちゃんは芸能活動を休止し、12月下旬の今なお、本格復帰には至っていない。
発言そのものは、後にやす子さんが許す旨の投稿を行っている。しかし当事者同士で解決していてもなお、事態が変化しない理由のひとつに、「対応の遅さ」があると考える。フワちゃんは、その日のうちに、何の件とは触れずに「本当にすみません」などと投稿した。
そして、4日後になって、ようやく「やす子さんの投稿に『アンチコメントが付くなら』」といった趣旨で、投稿画面に「死んでくださーい」を入力していたところ、誤操作により投稿してしまったとの経緯を伝えた。
この程度の内容であれば、すぐさま説明できたはずだ。不祥事対応で大切なのは、謝罪そのものではなく、「なぜ起きたか」だ。納得感が得られるかは別として、まず現時点でわかっている経緯を、すぐに伝えるべきだった。
しかし初動が遅れたことにより、「ダンマリだ」「逃げている」といった印象を与えた。もし最初の経緯説明がしっかりしていれば、ここまでのバッシングにはつながらなかったように感じられる。