IT人材が輝くことで日本社会の輝きにつながる

 LeINは5つのバリューを大切にしている(*12)。それは、「目的を定義して逆算しよう」「本質を捉えられるまで深く考えよう」「価値ある結果を出すために必要な行動をしよう」「謙虚さと挑戦心を持ち続けよう」、そして、「相手目線で考えよう」だ。芦川さんの目線は、人材不足に悩む企業と同じところに向いている。それは、職場における、IT人材の定着だ。

*12 株式会社レインのホームページ内「LeINについて」より。

芦川 人事の方と私たちのミーティングは、目の前の採用課題の話だけで終わらないようにしています。人材採用の先にある、組織で実現したいことや、最終的に経営で実現したいことが何かを把握し、ゴールから逆算して必要なことを捉えるようにしています。ですから、課題解決の方法が採用ではないと判断すれば、「今回は採用の必要がないのでは?」とお答えするときもあります。これからは、3B(スリービー)という考え方がとても重要になると考えています。人の採用を考える企業に対して、スキルベースでの調達を「バイ(Buy)/ビルド(Build)/ボロー(Borrow)」と考えれば、バイ=採用、ビルド=内部人材の教育、ボロー=社外人材の副業・兼業や社内副業・兼業など、となります。それぞれのケースで、どの手段が最適かを個々の企業と検討し、「採用のお手伝いをします」ではなく、「必要なスキルをどうやって調達するのか。そのために採用のお手伝い“も”します」と言えることを目指しています。

 さらに、芦川さんは、LeINが「ライトアップエンジニア」=「エンジニアが輝く社会を」と謳う理由を、「IT人材が輝けば、企業のDXが進み、自ずと、組織も企業も社会も輝いていくから」と、説明する。「2025年の崖」を経て、日本の企業は変化していくのだろうか?

芦川 いきなりは変わっていきませんが、変わりつつある、変わる見込みはあるかな、と個人的には思います。DX人材を育成・調達して確保し、レガシーシステムから脱却できるかどうかが鍵だと思います。こういった問題が起きている一因は、経営トップ層のITシステムへの関与不足であったり、逆にエンジニアの経営や事業の理解不足です。経営的な視点を踏まえたうえで、費用対効果を考えたITシステム投資が行われるようになれば、持続的な成長と競争力の強化が可能になると思います。