「一言だけ言おう。(今後有望なのは)プラスチックだ」――映画「卒業」でダスティン・ホフマン演じる人生の目標が定まらない主人公に与えられたキャリアアドバイスは、かなり的確だった。1967年の同作公開以来、世界のプラスチック使用量は20倍に増加した。しかし、大手石油会社がこの驚異的な素材に依存を強める中、筋書きは複雑化している。人々が電気自動車(EV)に切り替えたり、少なくとも燃費が改善した従来型車を購入したりするにつれ、エネルギー企業は余剰の石油を抱えることになる。現在、世界の石油需要の半分以上は輸送用だ。国際エネルギー機関(IEA)の石油市場アナリスト、キアラン・ヒーリー氏は、EVの販売が一段と加速しなくても、エンジン車の燃費効率改善により、将来的には同じ距離をより少ない量のガソリンで走行できるようになると指摘する。IEAは、2030年までに世界の石油生産能力の供給過剰が日量800万バレルに達すると見ている。
プラスチックに賭ける石油大手、成算は
EV台頭で輸送用石油の需要は減少へ、今後はプラスチック生産の増加が重要だが
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