握手写真はイメージです Photo:PIXTA

活き活きとした関係を築くためには、お互いがオープンマインドになることが必要だ。社会心理学者のロバート・チャルディーニ教授は「返報性の原理」を提唱した。相手から受けた好意に、「お返し」をしたいと感じる心理だ。この心理を使って感謝をチャンスに変える方法を解説する。※本稿は、楠本和矢『人・場・組織を回す力』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

「その人ならでは」を
見つけて共感を表す方法

 この技法は、その人ならではの考え方や姿勢、生き方について共感できることを、話題の中でさりげなく伝える方法です。これを言われて喜ばない人はいないでしょう。私自身も、部下から「楠本さんは、他の人と違って○○なところがあるから、尊敬します」などと言われたときには、静かに無上の喜びをかみしめてしまいます。皆様も、同じように感じませんか?

 方法としては簡単です。まず、相手の「考え方」や「姿勢」について、ポジティブな目線で「観察」しておくことです。そういう目で人を見ていると、すぐに「あ、今の発言いいなぁ」と感じるものが見つかります。

 そのような発言や行動が再びあったときに、「そういう○○さんらしい考え方について、以前から共感しています」などということを、自然に伝えてあげることです。「以前からそう感じている」ということを添えるのがコツです。

 ただ、話の流れに乗らず、急にそこだけ取り出したり、あまりに仰々しく言ったりすると、わざとらしくなります。「当たり前のこと」かのように、さらっと伝えることが重要です。

「その人ならではのこと」を見つけるための視点例

○あることに関する「発言」
●「あのときに仰っていた○○ということを、いまだに覚えています」

○ものごとを進める「手際」
●「○○のときの進め方について、いつもすごいなと思っています」

○成果物の「クオリティ」
●「いつも、○○の仕上がりが完璧ですよね。さすがです!」

○あることへの「努力」
●「○○について努力されていることに感銘を受けています」

○その人自身の「生き方」など
●「△△さんの○○のような生き方って、とても格好いいです!」