B プライベートバンカーにも2種類います。「誰かに強烈にハマる人」と「誰とでもそこそこ付き合える人」です。前者のタイプだと、どんなときでも「今から来れるか?」と顧客から電話がかかって来ます。これは諸刃の剣で、別の人には「まったくハマらない」ということでもあります。後者は的確なアドバイスで顧客ニーズに応えるタイプで、信頼されるけどハマるという感じではありません。

A 顧客は事業家で、孤独で寂しさを抱えている人が多くいます。社員や役員にはプライベートなことを相談できませんからね。「うちの息子の相談もお前にしかできない」といったところに、ビタッとハマるプライベートバンカーは確かにいます。ちなみに、Bさんはどちらのタイプだったんですか?

B 私は後者です。誰かに強烈にハマったことはないですね……。それは常に正しく導いてあげよう、という考えがベースにあったことに起因しているかもしれないです。彼らは経営のスペシャリストであることが多いですけど、全員が資産管理のリテラシーが高いわけではありませんから。落ち着いたスタイルで属人性も高くないスタイルなので、そこまで熱狂的に支持される感じはなかったですね。

A それで言うと、ドラマの主人公・庵野甲一は「ハマる」タイプかもしれませんね。第1話まで見た段階で、前澤友作さんにも橋爪功さんが演じる天宮寺丈洋にも依頼人とプライベートバンカーを超えた関係性を築いているように見えます。今後のドラマの展開が楽しみですね。