わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校【2026年入試版】#15Photo:PIXTA

今年3月、2025年度予算が成立し、所得制限なしで高校授業料を支援する国の新たな「就学支援金制度」が4月から始まった。26年度からは私立高校の授業料の全国平均額の支給が始まる。これによりほぼ確実視されているのが、中学受験で私立中高一貫校を目指す家庭の増加だ。だが、授業料が実質無料になるからといって、“中受”にかじを切るのは危うい。なぜなら、中受と私立中高一貫校の通学には授業料以外にも多額のお金が必要だからだ。特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#15では、「課金ゲーム」と呼ばれる中受の“お金”を大調査する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

国に先駆けて独自就学支援を始めた東京と大阪で
中学受験に新規参入した家庭が増加

 2024年度までの高校生への就学支援金制度は、公立・私立共に、世帯年収910万円未満で公立高校の授業料相当額である年間11万8800円が支給され、また私立高校に通う場合、年収590万円未満で年間39万6000円(上限額)が支給される仕組みだった。

 だが、25年度から世帯年収910万円の所得制限が撤廃され、26年度からは私立高校における所得制限も撤廃され、支給上限額も授業料の全国平均額である45万7000円に引き上げられる予定だ。

 この支援拡大によって学習塾関係者の間で予想されているのが、私立中高一貫校の受験者増と公立中高一貫校の受検者減だ。実際、国に先立って独自の所得制限なしの就学支援に踏み切った東京都と大阪府では、私立中高一貫校受験への新規参入が増え、特に大阪ではにわか中受ブームともいえる状況さえ生まれている。

 しかし、私立高校の授業料が実質タダになるからといって、私立中高一貫校の受験を目指すのは早計だろう。当然ながら、平均して小学4年生から通う中学受験塾の費用や受験料に加え、晴れて合格しても私立中高一貫校にかかる費用は授業料以外も多額だからだ。

 そこで次ページでは、中学受験カウンセラーの石田達人氏の協力の下、四谷大塚や早稲田アカデミー、SAPIX、日能研など大手集団指導塾や個別指導塾など主要10塾の年間コストの比較や、小4からの3年間の通塾の総費用を徹底解剖。さらに首都圏と関西の有名中高一貫校23校の初年度納付費用も一斉調査した。無償化される授業料は大差がなくても、最大2倍近い金額を納付するケースもあるので要注意だ。中学受験を新たに考える家庭は必見だ。