いまどきの学生に対して、キャリアセンターが行うこと

 日々、授業やゼミだけではなく、キャリア支援を通じて多くの学生と接している石阪教授から見て、最近の学生にはどのような傾向があるのだろう。

石阪 自分に自信を持てず、挑戦を嫌う傾向があるようです。原因のひとつは、おそらく、幼い頃から偏差値やいろいろなランキングを見て、自分と他人を比較し、「自分はこれくらい」といった感覚があるからだと思います。就活においても、「自分なら、これくらいの会社でいい」という、妙に冷めたところがあります。

 また、最近の学生は主体的に行動するのがあまり得意ではありません。課題をこちらから与えると、きちんと行うのですが、課題を自ら探しにいくのは苦手です。

 さらにもうひとつ、人と積極的に交わるより、自分の内側に閉じこもってしまいがちな面もあります。これはリーマンショック後くらいから顕著になっていて、ゼミやサークルの飲み会などに参加する学生が少なくなりました。ただ一方で、人とのつながりを求めている傾向も見え隠れします。現在の学部生は、中学・高校の頃にコロナ禍を経験し、学校に行けなかったり、友だちと遊べなかったり、さまざまな行動制限で寂しい思いをしてきました。その分、大学では人とのつながりを持ちたいという気持ちが強くなっているようです。

 そうしたいまどきの学生たちをいろいろな社会人たちにつなげていくのも、キャリアセンターの重要な役割だと、私は考えています。だからこそ、学内に限らず、地域の企業関係者や卒業生をキャリア支援プログラムに招いたり、こちらから出かけていく機会をつくったりしています。

 そもそも、キャリアは、さまざまな人とのつながりを通じて積み上げていくもの。他者とつながったうえで、自分の長所や強みがどこにあるのかが分かり、自分の活躍できる場所が見えてくるのです。