それは「本来なら事業所得のものでも、帳簿の保存がない場合は雑所得になる可能性がある」(波多江氏)ということだ。

 事業所得は、雑所得とは異なり、青色申告特別控除(最大65万円)を利用できるため節税効果が高い。しかし、副業による所得を雑所得ではなく事業所得として扱うためには、帳簿書類を適切に作成し、保存しておく必要がある。帳簿の保存がない場合には、事業所得として認められず、雑所得に分類される可能性がある。

副業で確定申告する際の
「4つのポイント」

 ここからは、副業に関する所得を事業所得として確定申告する際の「4つのポイント」について解説していく。

【ポイント1】帳簿や領収書などは原則7年間保管する

 確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、それぞれ提出する書類の種類が異なる。白色申告は青色申告よりも手続きが簡単である半面、優遇措置などのメリットが少ない申告方法である。

 副業で確定申告を行う場合、いくつか注意すべき点がある。まず、白色申告の場合は領収書などの書類を5年間、帳簿類を7年間保管する必要がある。また、青色申告の場合は、領収書も帳簿類も原則7年間保管しなければならない。確定申告が終わった後も、これらの書類を捨ててしまわないように注意しよう。

 なお、紙の取引書類については、電子帳簿保存法に基づく「スキャナ保存」の要件を満たして保存されている場合に限り、原本を破棄することが認められる。ただし、条件によっては原本を破棄できないケースもあるため、十分注意が必要だ。

 なお、確定申告書の作成に必要な書類などは以下の通り。

・給与所得の源泉徴収票や報酬の支払調書など本業・副業の収入に関する書類
・収支内訳書(白色申告もしくは前々年の副業による収入金額が1000万円を超える場合)または青色申告決算書(青色申告の場合)
・所得税の過払い分の還付を口座振り込み受ける場合、振り込みを希望する銀行口座の情報
・各種控除を適用する場合はその証明書(生命保険料控除証明書など)
・マイナンバーカードなど、マイナンバーが分かる書類